「当社が制作したデザインによく似たデザインを貼った商品が出回っており、困っている・・・」
「当社が制作したプログラムやホームページの内容を別の会社が勝手に使用しているようであり、困っている・・・」
企業活動においては、商品そのものだけでなく、著作権や商標権・意匠権などの知的財産権と呼ばれる権利、さらに営業の秘密や営業に有用な情報など、広い意味での「知的財産」が重要視されています。
現在では、インターネットによって大量の情報が流通しており、企業が「知的財産」を適切に管理する必要は高まっていると言えます。
当事務所では、今までに企業からの知的財産に関する相談や争訟に関与してきました。その中で、インターネットの普及により知的財産の模倣・漏洩などによる被害拡大が深刻化していること、知的財産を平時は厳重に管理し、盗用などの侵害があればすみやかに対応することの重要性を実感しました。
以下、知的財産に関するポイントを列記します。
著作権とは、創作的表現物(著作物)を創作した者(著作者)に与えられる、複製権、公衆送信権など一定の種類の独占的権利(著作権)の総称です(権利の束のようなものです)。
意匠権・商標権との大きな違いは、著作権は登録を要することなく成立しますが、意匠権・商標権は、特許庁における「登録」が必要となる点です。
インターネットの普及やデジタル技術(複製や送信など)の発達という変化に伴い、平成21年、著作権法は、検索エンジンに関する権利制限規定等の改正がなされましたが、さらなる改正も予想されるところです。
意匠権とは、物品について創作した、工業用利用できる新規の意匠(デザイン)に対して与えられる権利であって、特許庁における登録が必要とされます。
典型的な意匠権に対する侵害は、A社がキャラクターのデザインを意匠法により登録しているのに、B社が無断でそのデザインを真似て商品に貼りつけて販売することです(差し止め請求や損害賠償請求などの救済手段があります)。
次に、商標権とは、商品について他の商品と識別し、出所を表示するために商品について使用する文字・図形や、これらの組み合わせ・色彩との結合に対して与えられる権利であって、特許庁における登録が必要とされます。
典型的な商標権に対する侵害は、A社の登録商標を、B社が無断で同じ商標を使用することです(差し止め請求や損害賠償請求などの救済手段があります)。
企業の営業ノウハウなどの重要な「営業秘密」は、まず企業内で厳重に管理されなければなりません。
しかし、これらの営業秘密は、著作物ではないことが多いため、侵害行為を受けたとき、著作権による保護はありません(また、営業秘密が、意匠登録・商標登録されていることはほとんどないでしょう)。
そのため、管理が破られ、営業秘密が流出して悪用された場合には、何らかの対策が必要です。
不正競争防止法は、営業秘密の要件や保護するための方法を定めています。→さらに詳しく。
そのほかに、不正競争防止法は、他人の商品を模倣した商品の譲渡やドメインにかかる不正行為など、企業における「知的財産」に関する様々な不正競争の防止を定めています。
ほかにも、企業の知的財産に関する法律問題は、上記の著作権法・意匠法・商標法・不正競争防止法だけでカバーされているのではなく、特許法や商法・民法、さらに個人情報保護法など、複数の法律によって規制されているといえます。
以上のように、企業にとって知的財産は、経営における重要な構成要素といえます。
したがって、知的財産を適切に管理したり、知的財産の侵害に対して速やかに措置をとることは、経営において重要な問題といえます。
当事務所では、企業活動に関する知的財産(著作権、意匠権・商標権、営業秘密の保護や個人情報の管理など)についてのご相談やご依頼をお受けしております(→相談)。まずはお問い合わせ下さい。