「取引先が言うままに契約書に押印してきたが不安もあるので、契約書の条項をチェックできないか?」
「新規に取引を始めたいが、どのようなリスクがあるか?また契約書の内容はどうすればいいのか?」
「現在、取引先と支払いについてトラブルになっているため、書面(示談書、覚書など)を取り交わしておきたいが・・・」。
このようなご相談が増えています。
まず、売買などの契約は、原則として、申込と承諾によって成立します(いわゆる口約束でも成立します)。
ですから、取引内容が単純な取引などは、いちいち契約書を作る必要がないともいえます。
しかし、最近は、商品が多様化し、取引内容も複雑になってきており、将来のトラブルに備えて、予め取引の相手方と契約書を取り交わすことが非常に増えてきています。
当事務所では今までに企業間の様々な契約書の作成やチェックを行ってきました。その中で、口約束がトラブルの元になること、早期対応が重要であることを実感しました。
以下、契約書の意義やポイントを列記します。
契約書を作成する意義として、
(1) 文書として残るため、契約の成立・内容が明確となる。
(2) 将来、トラブルとなった場合に有力な証拠となる。
という2点があります。
これにより、契約書には、将来のトラブルを予防するという機能があるといえます。
次に、契約書を作成・取り交わすまでの流れを見てみます。
このように、契約書を取り交わす前に、取引の実情や適用される法令などを検討して、様々なリスクを事前に十分に洗い出します(リスクが大きすぎれば、契約自体を取り止める、ということも考えられます)。
また、これらのリスクは、契約書の相手方(一般の消費者が取引の相手方か、企業が取引の相手方なのか、相手方企業の規模・経営状態など)や商品の内容によって、大きく異なります。
これらリスクを洗い出した上で、リスクに配慮した契約書を作成するわけですから、契約書には、取引におけるリスク管理(マネジメント)、という機能もあると言えるでしょう。
さらに、契約書を作成する際、リスクだけでなく、商品の販売戦略を阻害しないか、競合他社との関係はどうか、などの企業戦略も十分に考慮し、それらの点を契約条項に盛り込む場合もあります。
その意味で、契約書には戦略的な機能もあると言えます。